「JAXAデジタルアーカイブス」に、先日 H-IIA 11号機の画像が大量に追加されたのでご紹介。
続きを読むH-IIA F-11/ETS-VIII 打ち上げ画像集
太陽観測衛星「ひので」の初期観測成果
『提供:NAOJ・JAXA』
9月23日にM-Vロケットで打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」の観測結果が公表されています。
素人目にはなんだかよくわからんけどすげえや、って感じ。
ここで軽く太陽についておさらいしておきましょう。(参考:Wikipedia)
- 地球からの距離: 149,597,870 km
- 推定年齢: 46億歳
- 直径: 1,392,000 km (地球の109倍)
- 質量: 1,989,100,000,000,000,000,000,000,000,000kg (地球の333,400倍)
- 表面重力: 27.9 G
- 組成: 水素:73.46%, ヘリウム: 24.85%
直径が地球の109倍もあるってことは、「ひので」の写真で表面から吹き上げてる炎って地球をすっぽり覆ってしまうぐらいどでかいものなわけですね。
ところで、新しい観測機器が登場して観測精度が向上すると、さぞやいろいろな謎が解明されるんだろうな、と思っていたのですが、どうもそうゆう話ばかりではないようです。もちろん、今までの謎が解けることも多いのですが、今まで知られていなかった不思議な現象が観測されることも多いらしい。
科学観測は、古い謎を解明すると同時に、新しい謎を発見するための手段でもあるわけですね。こうして発見された謎が研究テーマとなり、様々な理論が検討され、いずれ新しい観測手段により理論が証明され、そしてまた新しい謎が発見される、と。
そう考えると、打ち上げ前に「この観測衛星は何の役に立つのだ?」って尋ねるのはなかなか答えづらい質問なのかもしれない。もちろんいろいろな想定と期待はあるだろうけど、「想像もしてなかった何かを見つけること」が最大の成果だろうから。
「ひので」衛星が見た「水星の太陽面通過」
ちょっと古い話になりますが、11月9日に水星の太陽面通過という天文イベントがありました。
これは地球と太陽の間を水星が横切るという現象で、太陽の中を小さな点が移動していく様子が地球からも観測できます。
太陽が明るすぎるため肉眼での観測は困難ですが、簡単な機材を用意すれば割と簡単に観測することができるため、各地で観測会が行われ、インターネットでの中継も行われたようです。
ネット上のあちこちでこの時の写真やムービーがアップされていますが、その中でも最も目をひくのが、9月23日に最後の M-V ロケットによって打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」から撮影した映像です。
大気の壁を通さずに宇宙空間から直接観測してるのであたりまえとはいえ、びっくりするほど鮮明な写真とムービーが撮影されています。
当方天文学についてはまるっきりの素人ですが、ここまで段違いな映像が得られるんであれば、学者さんはこの衛星を欲しがるはずだ、と納得。
しかも、俺なんかは単に綺麗な写真だな、で終わってしまいますが、見る人が見ればここからいろいろな発見があるんだろうなぁ。
言うまでも無く、太陽は我々の生活に大きな影響を与えている星です。ほんのちょっとした活動の変化で、気候や作物の収穫量、各種衛星経由の通信などに大きな影響があります。
このように重要な星に対する知見を深めることは価値のあることだと思うし、我々の社会が太陽の研究に資金やエネルギーを投資できるだけの豊かさと平和を維持しているというのはとても幸せなことでしょう。
SOLAR-B/M-V-7打ち上げ成功
打ち上げ成功したそうです。衛星の名前は「ひので」とのこと。
サンチャゴ局は、SOLAR-B衛星からの電波を順調に受信し、衛星の分離、太陽電池パドルの展開を確認しました。M-Vロケット7号機によるSOLAR-B衛星の軌道投入は成功しました。(http://jaxa.tv/ )
素晴らしい。
宇宙作家クラブの掲示板に打ち上げ時の写真が公開されています。
今回、M-V ロケット最後の打ち上げということで、見学にいかれた方も多く、これからいろいろとレポートが出てくるものと思われます。
M-V の引退により、ペンシルロケットから始まった国産固体ロケットの大型化の歴史がひとまず区切りを迎えたこととなります。(次は小型化/低コスト化の予定)
日本の現状は、公共事業としての宇宙開発に対して国民一般に充分なコンセンサスが得られている訳ではないと思います。この機会に、日本の宇宙開発の歴史を振り返るとともに、今後の宇宙開発のあり方について各方面できちんと議論してみるといいんじゃないかと。
SOLAR-B/M-V-7打ち上げ準備中
似たような話が続きますが、9月23日には、内之浦宇宙空間観測所から、M-V ロケット7号機による太陽観測衛星SOLAR-Bの打ち上げも予定されています。
太陽の活動が活発化すると、地上の通信が乱れたり、宇宙空間にある衛星等の電子機器に悪影響が発生しますが、この太陽の活動をよりよく知ろうというのが SOLAR-Bの目的らしい。
種子島から打ち上げる HII-A ロケットは、宇宙の商用利用を目的としたものが主となりますが、内之浦から打ち上げる M-V ロケットは学術研究を目的とした科学衛星が主となっています。
このせいか、M-V ロケットの打ち上げ広報ページはアットホームな雰囲気があって読んでて面白い。
たとえば、内之浦実験班便りの停電にまつわる話の中のこんな一節。
一時的にせよ、電力的な心配が有る場合には、まず作業スペースの空調が落とされます。人間は暑くて汗をかいても我慢すれば良いですが、衛星やロケットに汗をかかせる(=暑く湿った空気が流入して結露する)ようなわけにはいかないのです。
最先端技術の現場で体を張って頑張っている方々の姿が目に浮かんできませんか。