「宇宙花火」西日本で見られるかも

 宇宙と大気の境界領域の様子を探るため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのチームが、鹿児島県・大隅半島からロケットを打ち上げて上空でリチウムを放出し、地上から観測する実験を計画している。リチウムは太陽光を受けて、赤く光りながら球状に広がるとみられる。この「宇宙花火」は、西日本各地から肉眼でみられそうだ。

「宇宙花火」西日本で見られるかも JAXAなど実施へ(asahi.com)

中性リチウムの放出実験

小型ロケットによって高度300kmから中性リチウムを放出し、その動きを地表から観察するという面白い試みが予定されています。

どのように見えるのかいまひとつ想像できないんですが、めったに見れない光景であることは間違いないでしょう。うらやましいことに、西日本にお住まいの方であれば、肉眼で観測することができるらしい。

打ち上げの日時は、直前の大気の状態によって決定されます。最新情報については、以下のリンクを参照してください。

大気の話

山頂などの高い場所では、海面高度に比べて気温が下がります。これは主に気圧の低下によるもので、1km 高くなるごとに -6.5 度程度気温が下がるそうでず。例えば、エベレストの山頂は高度 8848m なので、海面に比べて約 60 度も温度が低いことになります。

では、このまま高度を上げていって、宇宙まで上っていくと、どんどん気温は下がるのか。

実は、気圧の低下による温度変化は高度 10km 程度で頭打ちになります。これぐらいの高さになると、気圧が十分に低くなってしまうので、気圧低下よりは他の要素が支配的になるらしい。

地表からみて、高度を増すごとに気温が下がっていく領域を対流圏といい、その上を成層圏と呼びます。

成層圏ではある波長の紫外線により酸素(O2)がオゾン(O3)となったり、別の波長の紫外線によりオゾン(O3)から酸素(O2)になったりしています。これがオゾン層と呼ばれるものです。

このオゾン層により地球に降り注ぐ紫外線のうち、生物に対して有害な波長の短いものが吸収されています。つまりオゾン層が破壊されると、地表面に降り注ぐ紫外線の量が増え、しみ・そばかすの原因になるわけですね。地球環境は大切にしましょう。

さてこのオゾン層の活動により、紫外線は熱に変換されます、オゾン層の活動は高度があがるにつれて活発になり、結果として気温も上昇していきます。成層圏の最下部では -70 度ぐらいだった気温が、高度 50km では 0 度近くにまで上昇するそうです。

高度 50km を越えると、オゾンですら希薄になってしまい、再び高度が上がるにつれて温度が低下しはじめます。この領域を中間圏と呼びます。

中間圏は高度 50km から高度 80km 程度に分布し、最上部では -90 度以下になるそうです。

高度 80km を越えると大気はものすごく希薄になり、気体が存在するというよりは、真空中に大気を構成する分子がまばらに浮かんでいるような感じになっていきます。

この領域では、電磁波などによって分子の運動量が増加します。温度とは分子の運動量を表しているので、高度が上がるに連れて、大気の温度は上昇していきます。

この領域を熱圏といい、高度 80km から 高度 800km までの広い範囲に及びます。

一般には「宇宙」というのは高度 100km ぐらいから上を示す言葉で、人工衛星はだいたい高度 250km ぐらいから上、シャトルや ISS が高度 400km ぐらいの高さにあります。つまり、熱圏というのはほとんど宇宙空間でもあるわけです。

大気の観測

さて、地表から宇宙の間に広がる大気は、高度によって様々に異なる性質を持つことがわかっていますが、それぞれの高度によって大気がどのような運動をしているのか、各領域がどのように相互に影響を与え合っているのかなどは、まだまだわからない部分があります。

おおむね高度 10km ぐらいまでは、飛行機を利用することによって、様々な観察を行うことが可能です。しかし、翼によって揚力を生み出す飛行機では、成層圏の下のあたりまでしか観測することができません。

そこで、高度10kmから上の大気を観測する手段として、気球が使われています。ちなみに、日本は高度 53km にまで気球を到達せせており、これは世界記録だそうです。

一方で、高度250kmから上は人工衛星を飛ばすことができます。400km にもなれば ISS で人間による観測も可能です。

じゃあ、気球の到達できる高度 50km より高く、人工衛星が回れる 250km より低い部分はどうやって観測するのか。

ここで小型ロケットの出番となります。

人工衛星などを打ち上げるための大型のロケットは、打ち上げの時は真上に飛んでいっているように見えますが、高度200-300kmぐらいにまで上昇した後は衛星速度を実現するために水平方向に加速します。主に、この水平方向への加速のために、膨大な燃料と複雑な管制システムが必要となっているわけです。

大気を観測するための小型ロケットの場合、大型のロケットと同じぐらいの高度にまで到達しますが、水平方向への加速は行わずに、すぐに観測機器を放出します。観測機器は地球の重力にひかれ落下していきますが、その過程で大気の様々な様子を観測することができるのです。

by Myfuna at 2007年08月25日 06:23 Comment(0) TrackBack(0)
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