HTV/H-IIB 打ち上げ準備中

ISS (国際宇宙ステーション)へ物資を輸送する、日本の無人輸送機 HTV の打ち上げ準備が進められています。打ち上げ予定時刻は、9月11日(金)午前2時01分46秒。あと10時間ほど。

新型ロケット H-IIB

今回の打ち上げは、新型の H-IIB ロケットの初打ち上げになります。

HT-IIB ロケットは従来の H-IIA の能力向上型で、第一段エンジン (LE-7A)を二基に増やし推進力を増強したものです。低軌道の打ち上げ能力で比較すると、約12トン(H-IIA 204)から 約16.5トンにパワーアップしているそうです。

この増強に伴い、第一段の直径が 4m から 5.2m なっています。また、先端部の衛星フェアリングの高さも 12m から 15m に延長されました。

「スレンダーな方が H-IIA」「セクシーダイナマイトなのが H-IIB」だと覚えておくといいでしょう。

H-IIB 対応のために、種子島宇宙センターの射点設備の改修なども行われたそうです。細かい話は以下の資料が詳しい。

HTV

HTV (H-II Transfer Vehicle / 宇宙ステーション補給機) は、ISS へ補給物資を運ぶための無人輸送機です。食料品や実験装置などの物資を ISS に運搬し、補給後は不要品を搭載して大気圏に再突入して燃え尽きます。

来年(2010年)には、スペースシャトル (乗員7名。貨物重量約 14 トン)の退役が決まっています。今後は ISS への有人飛行はロシアのソユーズ (乗員3名。貨物なし) に頼ることになります。一方、物資の輸送については以下の宇宙船を併用するそうです。

  • プログレス: ロシア製。ソユーズの無人貨物輸送型。すでに何度も運用実績がある。貨物重量約2.5トン
  • ATV (Automated Transfer Vehicle): ESA (欧州宇宙機関) が開発した、無人貨物輸送機。2008年に初打ち上げ。2号機が2010年打ち上げ予定。貨物重量約 7.5トン

これに日本の HTV も加わるということになります。

  • HTV (H-II Transfer Vehicle): JAXA が開発した無人輸送機。貨物重量約 6 トン

HTV はなぜ自動ドッキングではないのか?

これには ISS の二種類の結合機能への理解が必要となります。

まず、ロシア側のモジュール間の結合や、ソユーズやスペースシャトルが ISS にドッキングするときに使われているロシア製の APAS(Androgynous Peripheral Assembly System)というものがあります。APAS は旧ソ連時代のミュールから使われているドッキングシステムで、宇宙船同士が(ゆっくりと)衝突するだけで自動的にドッキングが行われる手間いらずの優れものです。

これとは別に、アメリカ側のモジュール間の結合には CBM (Common Berthing Mechanism) というものが使われています。APAS に比べて大型で多機能ですが、自動ドッキングはできず、ロボットアームなどで保持した状態で接触させる必要があります。

プログレス、ATV ともに APAS を採用しているため、自動ドッキングが可能ですが、 HTV は CBM を採用しているため自動ドッキングをすることができません。

このため、HTV は自動で ISS に接近した後に ISS のロボットアームに捕捉され、ISS 側の操作によってドッキングを行います。なんかめんどくさそうですね

しかし、APAS の結合部は直径約60cm。一方で、CBM は約130cm x 130cmです。つまり、APAS では運び込めないような大きな荷物でも、CBM を使えば運び込むことができるのです。

ISS で使われている実験ラックなどは、APAS のハッチを通過できないため、シャトル退役後、少なくても当面の間一部の貨物は HTV でのみ輸送可能ということになります。

APAS については、単独でまとまった日本語の文章がみつからなかったので、APAS と CBM 間の結合を仲立ちする、PMA (与圧結合アダプタ) についての記述も参考にしています。

今回の打ち上げ目的

実際に HTV に貨物を積んで ISS とのドッキングを目指しますが、今回は「実証実験」ということで、以下のようなクライテリアが設定されています。

ミニマムサクセス
  • 軌道間輸送の技術実証として、HTV技術実証機がISSにランデブ飛行し、ISSロボットアームで把持可能領域まで最終接近ができ、運用機の運用開始に支障がないことが確認できること。
フルサクセス
  • HTV技術実証機がISSロボットアームにより把持された後、ISSとの結合ができること。
  • ISSと結合した後、与圧カーゴ及び曝露カーゴのISSへの移送ができること。
  • ISSからHTV技術実証機が分離・離脱した後、再突入させ、安全に洋上投棄ができること。
エクストラサクセス
フルサクセスに加え、以下のいずれかを達成すること。
  • 実運用結果に基づき、余剰能力を再配分し、運用機の能力向上の見通しが得られること。
  • 前提とする運用条件以外での運用実証等を通じて、運用機の運用の柔軟性を拡大できる見通しが得られること。

打ち上げ中継など

例によって、打ち上げの中継などが行われます。午前2時の打ち上げですが、興味のある方はぜひ。

動画配信

9月11日 1:30 ぐらいから放送予定のようです

他にもいくつかあるらしい

その他の中継

現地からの文字や写真での速報など

Twitter でも複数の方が種子島入りしています。タグ #H2BTF1 が使われている模様

2ちゃんねるだと、ここが実況スレみたい。

打ち上げの成功を祈ります!

by Myfuna at 2009年09月10日 16:04 Comment(3) TrackBack(0)
この記事へのコメント
打ち上げは無事に成功しました
ISS へのドッキングは 9/18 かな?
by Myfuna at 2009年09月11日 03:16
うう、しまった
セクシーダイナマイトのデビュー、
寝過ごしてしまった…orz

ひとまず打ち上げは成功したようで、なによりです
by かぶぞ at 2009年09月11日 09:18
まぁ、公式中継は画面真っ白で何がなんだかわからなかったんですけどね
http://www.youtube.com/watch?v=8PhY4Q8gipk

NHK はさすがに上手に撮影してる
http://www3.nhk.or.jp/news/k10015432091000.html

一般見学席からだこんな感じだったらしい
http://www.flickr.com/photos/whibiki/3907085447/?likes_hd=1
by Myfuna at 2009年09月11日 09:24
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