人工衛星の擬人化本が出ました。
著者はしきしまふげんさん。
以前ポストした「筑波宇宙センターの特別公開」というエントリーで、ちらっと「かぐやちゃん」が登場していますが、このイラストの作者の人です。
登場するのは以下の日本の人工衛星。
- 気象観測衛星 ひまわり
- ハレー彗星探査機 すいせい/さきがけ
- 技術試験衛星VII型 きく7号(おりひめ・ひこぼし)
- 環境観測技術衛星 みどりII
- 次世代型無人宇宙実験システム USERS
- 小惑星探査機 はやぶさ
- 月周回衛星 かぐや
これ以外にも、「おおすみ」や「のぞみ」などが、ゲスト出演しています。
この本、何よりロマンチックな文章が素晴らしい。「ひまわり」の章から少し引用してみます。
来るはずだった援軍は太平洋に散った。新しい気象衛星がやってくるまで早くても5年。しかし、観測に穴を空けることは絶対に許されません。もうすぐ定年を迎えるはずだった「ひまわり5号」は、観測機器の寿命を少しでも延ばすために、反射鏡の稼動範囲を小さくして磨耗を抑えるなど、涙ぐましい延命策が取られました。すでに引退していた4号も5号のバックアップとして配置についていましたが、最前線にバックアップにと11年働き続けた末、1999年にとうとう力尽きました。
5号は独りになりました。頼りの姉はもう居ない。地球からも援軍はこない。しかし倒れることも許されない。
取り上げている衛星は、現在も運用中のもの、見事な成果を残したものも、そしてミッションを完遂できなかったものなど様々ですが、いずれも愛情溢れる筆致で丹念な説明がなされています。
可愛い擬人化イラストはもちろん、精緻に描かれた(非擬人化されていない)衛星のイラストも素敵。擬人化の面白さには、元ネタをどのようにシンボル化しているかという点にもあるので、元ネタと擬人化を見比べられるこの構成は楽しいと思います。
また、各衛星を打ち上げたロケットの姿までも(擬人化されていない形で)イラスト化されています。しかも、短いながらも丁寧な解説付き。
とにかく、全てのページで愛情を感じる本でした。それと同時に、宇宙開発に携わる多くの人々に向けられた熱いエール感じる本でもあります。
全ページカラー。美麗なイラストと感動的な物語がぎっしり詰まって1600円。ちょっとでも気になっている人はさくっと購入した方がいいです。
なお、公式ブログの記事によると、「世界天文年2009日本委員会公認書籍」になったそうです。各書店のブックフェアのコーナーにも並ぶそうなので、気になっていない方も、見かけたらぜひ一度手に取ってみてください。
ところで、118ページのイラストは反則だよなぁ。泣かす気か!
こ、こんな本が…w
擬人化等で入り口を作って、そこで解りやすい解説とかって
構成が良い感じですね〜 なるほど、愛を感じますか〜
ポチらねばならないようですねw
しらんかった。福山潤バージョンはちょっと気になるな